山口地方裁判所柳井支部 昭和52年(ワ)4号 判決 1978年5月12日
原告
斉藤史子
被告
吉村甲一
ほか一名
主文
一 被告らは、原告に対し、各自金二三六万四三二八円および内金二一六万四三二八円に対する昭和五〇年八月一三日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求は棄却する。
三 訴訟費用は、これを一〇分し、その二を被告らの連帯負担とし、その余は原告の負担とする。
四 この判決は、原告勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。
事実
一 申立
(一) 原告
(1) 被告らは、原告に対し、各自金一三六一万六四四二円と内金一三〇一万六四四二円に対する昭和五〇年八月一三日から完済まで、年五分の割合による金員を支払え。
(2) 訟訴費用は、被告らの負担とする。
(3) 仮執行宣言
(二) 被告ら
(1) 原告の請求を棄却する。
(2) 訟訴費用は、原告の負担とする。
二 主張
(一) 原告
(1) 昭和五〇年八月一二日午後一二時五分ころ、大島郡橘町大字西安下庄一八所在旧農協建物跡の新道路(幅員約一五メートル)上において、被告吉村雅恵は、普通乗用自動車(山五ふ八七三八)を運転して、県道安下庄線を小松港方面から東和町方面に向け進行し、減速して前記新道路に右折進入しようとしたが、右新道路上には、一時停止中の車両があつたのでその前方をよく確認しなければならないにもかかわらず、前方不注視のため、一時停止中の車両の約四・二メートルも後方の新道路上を横断歩行中の原告に、前記普通乗用自動車(加害車両)を衝突させた。
(2) 右事故により、原告は、頭部外傷Ⅲ型頭蓋骨々折の傷害を受け、その治療のため大島東部病院に、昭和五〇年八月一二日から同年一一月一〇日まで九一日間、徳山中央病院に、同年一一月一一日から同年一一月一三日まで三日間、再び大島東部病院に、同年一一月一四日から同年一二月二〇日まで三七日間、合計一三一日間入院し、更に、大島東部病院に、昭和五〇年一二月二一日から同五一年七月一九日までの間(実日数一一日)通院をした。
(3) 被告吉村甲一は、加害車両の所有者であり、被告吉村雅恵は、同車を、自己のために運行の用に供し、かつ運行利益を得ていたものである。
(4) 損害は、次のとおりである。
(イ) 治療費 金九六万二一七五円
大島東部病院及び徳山中央病院における治療費
(ロ) 入院雑費 金六万五五〇〇円
入院一日につき金五〇〇円の割合による一三一日分。
(ハ) 入院付添費 金三七万六〇〇〇円
原告は重傷であつたため、付添看護婦に一一六日間付添看護してもらつた。
(ニ) 交通費 金五万三二二〇円
付添人バス往復(一日三〇〇円で一一四日分)三万四二〇〇円
同タクシー代 二八八〇円
原告の大島東部病院通院タクシー代 五六四〇円
同徳山中央病院入院往復タクシー代 一万〇五〇〇円
(ホ) 謝礼 金八万三六〇〇円
入院に伴う医師、看護婦への謝礼金
(ヘ) 休業損害 金三四万二六四七円
原告は、事故当時五〇歳で、薬剤師として、安下庄病院に勤務し、一ケ月平均金一五万五八〇〇円、ボーナス五・二ケ月を含めて一年間に金二六七万九七六〇円の収入があつたが、本件事故により、昭和五〇年八月一二日から同五一年二月二六日まで、欠勤を余儀なくされ、金三四万二六四七円の収入を失つた。
(ト) 将来の逸失利益 金一一三二万六二七三円
原告は、本件事故により、前記傷害を受け、嗅覚脱失、強度の頭痛目まいという後遺障害が残り、後遺障害九等級の認定を受けた。このため原告は、仕事のかたわら治療も続けており、労働能力の三五パーセントを喪失した。原告は、本件事故当時、満五〇歳の健康な女子であつたから、稼働可能年数は、少くとも一七年で、そのホフマン係数は、一二・〇七六であり、労働能力喪失による逸失利益は、次のとおり算出される。
267万9,760円×0.35×12.076=1,132万6,273円
(チ) 慰藉料 金五一二万七〇〇〇円
治療期間中の分として一二〇万七〇〇〇円、後遺障害に対する分として三九二万円。
(リ) 弁護士費用 金六〇万円
原告は、弁護士に対し、着手金二〇万円を支払い、報酬四〇万円を支払う旨約束している。
(5) 損害のてん補 金五三二万円
原告は、前記損害のてん補として、自賠責保険から金一〇〇万円、同後遺症保険金三九二万円の給付を受け、被告らから金四〇万円の支払を受けた。
(6) よつて、原告は、被告らに対し、原告がこうむつた前記損害総額から、前記すでに支払を受けた金五三二万円を控除した残額金一三六一万六四四二円と、内金一三〇一万六四四二円(弁護士費用を除いたもの)に対する本件事故の日の翌日である昭和五〇年八月一三日から完済まで、年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(7) 被告らの免責の抗弁事実中、加害車両の運転者である被告吉村雅恵に過失はなく、原告に過失があつたとの点は否認する。
(二) 被告ら
(1) 原告主張欄(1)のうち事故の態様は争うが、その余の事実は認める。
(2) 原告主張欄(2)は、知らない。
(3) 原告主張欄(3)のうち、被告吉村甲一が加害車両の所有者であること、被告吉村雅恵が加害車両を運転していたことは認める。
(4) 原告主張欄(4)は、すべて争う。
(5) 原告主張欄(5)は、認める。
(6) 免責の抗弁
被告吉村雅恵は、前方に一時停止中のトラツクがあつたので、万一にそなえて、徐行しながら右折したのであるが、原告が、突然小走りで、右トラツクのかげからとび出してきたものである。同被告としては、右トラツクがあつたため、目前にとび出すまでは、原告の姿を発見することはできなかつた、原告がとび出して来たため同被告は、直ちに急停止し、原告との衝突は避けたが、原告は、驚いて、加害車両と接触もしないのに、その場に転倒したものである、このように、本件事故の発生については、同被告には、過失はなく、原告の一方的過失によつて事故が発生したものである。また、加害車両には、構造上の欠陥または機能上の障害はなかつた。
よつて、被告らには損害賠償責任はない。
(7) 過失相殺の主張
仮りに、被告らに賠償責任があるとしても、本件事故当時は、ちようど昼休みに入つた直後で、原告は、勤務先の安下庄病院から、本件事故現場近くにある原告宅へ、食事をとるため急いで帰宅中、小走りで、前記トラツクのかげからとび出したものであること、事故現場手前には、横断歩道があり、原告としては、これを渡るべきであるのに、わざわざ危険な方法をとつていること、原告は、加害車両とは接触していないのに、あわてていたうえに、ヒールが五センチメートルもある「つつかけ」をはいていたため転倒したものであつて、自損行為に近いことなど、原告の過失があるから、大幅な過失相殺がなされるべきである。
三 証拠〔略〕
理由
一 昭和五〇年八月一二日午後一二時五分ころ、大島郡橘町大字西安下庄一八の旧農協建物跡の新道路上において、県道安下庄線を小松方面から東和町方面に向け進行し、減速して前記新道路に右折進入しようとした被告吉村雅恵(以下被告雅恵という)運転の普通乗用自動車(以下加害車両という)と、前記新道路上を横断歩行中の原告との間に、交通事故が発生したことは、当事者間に争いがない。
そこで、事故の態様につき検討するに、本件では、原告と加害車両とが衝突したか否か、事故直前の原告の経路等が主として争われている。
まず、原告と加害車両が衝突したか否かについて考えてみるに、原告本人尋問の結果によると、原告は、加害車両と衝突して足が痛かつたと供述しており、成立に争いのない甲第一九、一八号証によると、原告の左下肢のでん部およびひざ部に打撲傷があつたこと、その高さは、ほゞ加害車両の前部バンパーおよびボンネツトの高さと一致することが認められるから、原告は、その左下肢が、加害車両の前部に衝突したと認められ、右認定に反する被告雅恵の供述は信用できない。
そうなると、本件の争点に鑑み、衝突地点を確定する必要に迫られるところ、この点については、原告および被告雅恵は、検査段階における実況見分の際の指示説明においても、本件訴訟における本人尋問の結果においても別の地点を指示しているので、右各本人の指示ないし供述のみで衝突地点を確定することはできない。ところで、前記甲第一八号証によると、原告が転倒していた地点は、当時血痕が付着していて、はつきりしていたことが認められるから、この地点を基準として考えるべきであろう。そして、被告雅恵本人尋問の結果によると、原告は、転倒する直前、五~六歩後退した(加害車両から遠ざかつた意)旨供述しているところからみると、転倒していた地点が衝突地点ではなく、衝突地点は、転倒地点よりも五~六歩加害車両に近い地点(県道に近い地点)ということになる。前記甲第一八号証によると、原告転倒地点は、県道の南側々溝の外側から約五・五メートル、前記新道路西側外側線から約七メートルそれぞれ入つた地点の新道路上であることが認められるから、衝突地点は、県道南側々溝の外側から約五・五メートルの地点から更に五~六歩県道寄りの地点ということになる。
次に、原告が横断を開始した地点については、成立に争いのない乙第三号証によると、原告は、県道南側々溝の外側から約八・二メートル南の地点を指示しており、とくに疑念をさしはさむべき事情もみられないから、原告は、右地点から衝突地点に向つて斜めに横断したものと認めるほかない。
以上の認定事実および前記甲第一八、甲第一九号証、乙第三号証、成立に争いのない乙第二、乙第四号証、前記原告および被告雅恵各本人尋問の結果を総合すると、本件事故の態様は、ほゞ次のようなものであつたことが認められる。即ち、被告雅恵は、加害車両を運転して前記新道路に進入すべく、時速約一〇キロメートルで右折して、新道路に入つたこと、ところが、県道と新道路の交差点の角には、普通貨物自動車が一時停止をしていたこと、このため、被告雅恵にとつては、普通貨物自動車の後部の新道路部分は死角となつていたこと、原告は、普通貨物自動車の約四メートル余後方の地点から、新道路を、日傘をさし、つつかけをはいて、急いで、加害車両からみて、右から左へ向つて斜めに横断しはじめたこと、被告雅恵は、横断中の原告を、前方約一・五ないし三・三メートルの位置においてはじめて発見し、急停止の措置をとつたこと、ところが前記のとおり、加害車両の前部が原告の左下肢に衝突し、このため原告は転倒したこと、以上の各事実が認められる。
そして、成立に争いのない甲第一号証および証人木下謙治の証言によると、右事故によつて、原告は、頭部外傷(Ⅲ型)、頭蓋骨々折、後頭部打撲血腫等の傷害をこうむつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。
二 被告吉村甲一が、本件加害車の所有者であることは当時者間に争いがなく、他に特段の主張、立証がない以上、同被告は、本件加害車両の運行供用者であると認められる。
被告雅恵が、本件加害車両を、自己のために運行の用に供していたものであることは、被告らは、明らかに争わないから、これを自白したものとみなされ、被告雅恵は、本件加害車両の運行供用者であると認められる。
三 そこで、被告らの免責の抗弁につき検討する。
まず、運転者である被告雅恵に過失がなかつたと認められるか否かにつき考えてみるに、前記のとおり、同被告が原告をはじめて発見したのは、両者間の距離が一・五メートルないし三・三メートルというのであるが、同被告にとつて、最も有利と考えられる三・三メートルはなれた地点ではじめて発見したという場合であつても、その発見は、遅すぎるといわざるをえない。何故なら、前記のとおり、原告は、横断を開始した地点から衝突地点まで約七メートル位を歩行していることになるのであるが、前記乙第三号証によると、加害車両からみて、原告が一時停止中の普通貨物自動車のかげに入つて見えないのは、最初の約三・八メートルであつて、その後は、加害車両から原告を見ることができる状況にあるところ、加害車両から原告を見ることができるようになつた地点から衝突地点までの距離は、約三メートル余あり、原告はこの間の距離をも歩行していたのであるから、被告雅恵としては、前記三・三メートルに接近するより以前に、原告を現認することができた筈であると考えられるからである、そして、もし被告雅恵においてもつと早い時点において原告を発見していたなら、当然本件事故は回避できたと考えられるから、同被告に、右前方に対する注視義務違反があつたものというほかなく、同被告が無過失であると認めることはできない。そうすると、その余の点について判断するまでもなく、被告らの免責の抗弁は理由がない。
四 次に損害につき検討する。
(一) 前記甲第一号証、成立に争いのない甲第二号証の一ないし五、甲第三号証、甲第一七号証並びに原告本人尋問の結果によると、本件事故によつて、原告は、原告主張欄(2)のとおり、入、通院して治療を受け、症状が固定したが、嗅覚完全脱失の後遺症が残り、後遺障害第九級の認定がなされたことが認められ、右認定に反する証拠はない。
(二) 弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第一六号証の一、二並びに原告本人尋問の結果によると、本件事故当時原告は、満五〇歳の健康な女子で、大島郡国民健康保険診療施設組合安下庄病院に薬剤師として勤務し、月額平均金一五万五八〇〇円の給料と年間五・二ケ月分の賞与、一年間合計金二六七万九七六〇円の収入を得ていたことが認められ、右認定を覆えすにたりる証拠はない。
(三) 以上の基礎的事実関係に基づいて損害額を算出することとする。
(イ) 治療費 金九六万二一七五円
前記甲第二号証の一ないし五、甲第三号証によると、原告は前記入、通院の治療費として、金九三万四〇一五円を支払済であるほか、金二万八一六〇円を請求され、合計金九六万二一七五円の損害をこうむつたことが認められる。
(ロ) 入院雑費 金六万五五〇〇円
前記のとおり、原告は、計一三一日間入院したところ、入院雑費は、一日につき金五〇〇円を相当とするから、合計金六万五五〇〇円の損害を生じたことが認められる。
(ハ) 入院付添費 金三七万六〇〇〇円
原告本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第四号証の一ないし三、甲第五ないし第九号証、証人木下謙治の証言により真正に成立したものと認められる甲第一五号証並びに原告本人尋問の結果によると、原告は、入院治療中付添看護を必要とし、のべ一一六日間にわたり職業的付添人に付添看護をしてもらい、その費用として、合計金三七万六〇〇〇円を支出して、同額の損害をこうむつたことが認められる。
(ニ) 交通費 金一万九〇二〇円
原告本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第一〇ないし第一二号証並びに原告本人尋問の結果によると、原告は、付添人のためのタクシー代として金二八八〇円、原告自身の入、退院、通院のタクシー代として、金五六四〇円と金一万〇五〇〇円、合計金一万九〇二〇円支出して同額の損害をこうむつたことが認められる。なお、付添人のバス往復代計金三万四二〇〇円の支出については、本件全証拠によつても、その証明がない。
(ホ) 医師、看護婦に対する謝礼 金五万円
原告本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第一三、甲第一四号証並びに原告本人尋問の結果によると、原告は、医師看護婦に対する謝礼として、計金七一九五円相当の品物を贈与したほか、現金を、医師に対しては金四万円、看護婦らに対しては金一万二〇〇〇円、付添をしてくれた親せきの者に金二万円贈与し、その他レントゲン技師等の病院関係者らに金五〇〇〇円相当の物品を贈与したことが認められるが、傷害の部位、程度、治療の態様、入、通院の期間等にてらし、右のうち、医師に対する金四万円、看護婦に対する金一万円の謝礼の限度で、本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当と判断する。
(ヘ) 休業損害 金三四万二六七四円
前記甲第一六号証の一、二並びに原告本人尋問の結果によると、原告は、本件事故のため、昭和五〇年八月一三日から同五一年二月二六日まで欠勤し、このため、この間の給料を減額されたが、その休業損害は、金三四万二六七四円であることが認められる。
(ト) 将来の逸失利益 金一一三二万六二七三円
原告は、本件事故によつて、前記の傷害を受け、嗅覚完全脱失の後遺症が残り、後遺障害等級九級の認定を受けたものであるところ、前記のとおり本件事故当時、原告は、満五〇歳の健康な女子であり、六七歳までは稼働しうるものと考えられるところ、前記後遺障害により、労働能力の三五パーセントを喪失したものである。原告の年収は前記認定のとおりであるから、その現価をホフマン式計算方法(係数一二・〇七六)によつて算出すると、
267万9,760円×0.35×12.076=1,132万6,273円
となる。
(チ) 慰藉料 金三〇〇万円
諸般の事情を考慮して、入、通院分を金一〇〇万円、後遺障害分を金二〇〇万円、合計金三〇〇万円をもつて、相当と認める。
(四) 以上によると、損害額の合計は、金一六一四万一六四二円となる。
(五) 損害のてん補 金五三二万円
原告が、損害のてん補として、自賠責保険金四九二万円の給付を受け、被告らから金四〇万円の支払を受けたことは、原告の自認するところであるから、前記損害総額から、これを控除すると残額は、金一〇八二万一六四二円となる。
(六) 過失相殺
前記甲第一八号証によると、本件事故現場のすぐそばに、横断歩道が設置されており、原告本人尋問の結果によると、原告は、本件事故現場に至るまでに右横断歩道の直近を通つたのに、特段の事情もないのに右横断歩道を横断しないで、本件事故現場を横断したものであり、しかも斜め横断をしていることが明らかである。そして、前記のとおり、原告が横断を開始した地点は、一時停止中の普通貨物自動車の後方ほゞ四メートル余の地点ではあつたが、斜めに横断したゝめに、結果的には、右普通貨物自動車の直後を横断したのに近い状態となつている。しかも日傘をさし急いで横断している。本件事故現場は、横断歩道でないのは勿論、交差点又はその直近ともいえないから、歩行者である原告に優先権があるわけではなく、原告としては、左右の安全を確認して通行しなければならないのに、原告本人尋問の結果によると、原告は、衝突直前までは全く加害車両に気がついていないことが認められるのである。このように、本件事故の発生については、原告にも大きな過失があり、その過失割合は、諸般の事情を総合的に考慮して、原告八〇、被告雅恵二〇と認めるのが相当である。
従つて、前記損害残額金一〇八二万一六四二円から、その八〇パーセントを相殺すると、残額は、金二一六万四三二八円となる。
(七) 弁護士費用 金二〇万円
一切の事情を考慮して、被告らに負担さすべき弁護士費用は、金二〇万円をもつて相当と認める。
(八) 以上によると、被告らが、原告に対して支払うべき損害額は、金二三六万四三二八円となる。
五 そうすると、原告の請求は、被告らに対し、各自金二三六万四三二八円と内金二一六万四三二八円(弁護士費用を控除した額)に対する本件事故の日の翌日である昭和五〇年八月一三日から完済まで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度では理由があるから、右限度でこれを認容すべきであるが、その余は失当として、棄却をまぬかれない。
よつて、民事訟訴法八九条、九二条、九三条一項但書、一九六条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 増田定義)